2003/12/17


II. 飾り付け (Decorations)


 教職員たちは、物事を例年と同じように進めてゆこうと心を砕いていた。そういうわけで、大広間はクリスマス精神に基づいて豆電球や松の枝やヒイラギのリースで飾り立てられた。甲冑たちは今年もクリスマス・キャロルを歌い、魔法のかかった天井からは雪が舞い降りてくる。外で降っているべしゃべしゃしたものとは比べ物にならない、さらりと暖かい雪だ。豆電球の光がきらめき、キャンドルが空中に浮かび、城じゅうにスパイスと針葉樹の香りが濃厚にただよっていた。


 しかし城壁の外の世界では戦いが続いていた。だから、やはりクリスマス気分にはなれなかった。