2004/5/28

Their Room
(by aleximoon)

Translation by Nessa F.


作者さんあとがき抄訳

 すでに「作品紹介」のページ等で一部、訳出していますが、作者の aleximoon さんが最終章につけていたコメントが興味深い内容だったので、もう少しほかの部分も含めて訳しなおしておきます。ちなみに、ここで「書くかもしれない」とおっしゃっている続編については、残念ながら結局は書かないことにしたそうです。




 さて、"Their Room" 最終章です(ぐすん)。書き始めて丸々 1 年近くが経ったなんて、信じられます?


 この章はすごく短いです。分かってます。本来は「エピローグ」のつもりで書いていたものなのです。でも「エピローグ」なんて言うと、本当に「おしまい」ってかんじになってしまうでしょう? もしかしたら続編を書くかもしれないし(「かもしれない」です、約束はしません)、単なる「章」にしておくほうがいいと思ったのです。(中略)


 読者からの感想のなかに、いくつか対応しておきたいものがありました。ほんの数点、説明しておくべきだと感じたものについて触れておきます。


(中略。スペルミスと文法間違いについての弁解など(笑))


 Jadrien の意見では、ドラコとハーマイオニーのあいだの愛憎の葛藤が、少々長すぎて退屈だということでした。でもわたしはそうは思っていません。わたしは、この二人がこういう関係にあるのが好きなんです! この二人は、決して文字通りの仲良しな状態にはならないでしょう。いつでも甘くやさしい関係なんて、要りません。そんなのすごくつまらない。わたしは、ドラコとハーマイオニーを、非常にプライドが高く異なった理想を持つ二人の人間として見ています。二人はこれからも衝突します。たびたび。


 二人の間にはいくらか未解決の問題が残っています。だって、本当に解決してしまうような関係などあるのでしょうか。物事はただ延々と続いていって、わたしたちはもがきながら何とかできるかぎりのことをやっていくしかありません。


 未解決のままであるもう 1 つの理由は、この二人が自らの感情に逆らい続けていることです。どちらも恋になんて落ちたくない――とりわけ、この相手とは。だからドラコは、ある瞬間にやさしさを見せたかと思えば、次の瞬間には最低そのものの人間になってしまう。自分でもどうふるまえばいいのか分からないのです。


 読者のなかには、二人が付き合っているのか、そうでないのかが分からないと混乱している人もいました。断言させてください。彼らは、この物語のなかでは、一度もそんな関係にはなっていません。付き合い始めるというのは、非常に大きな一歩で、二人とも今のところはまだ、そちらへ踏み出すための心の準備ができていないと思います。もしかしたら、続編ではどうにかなるかも。


 それから、感想をくださったすべての方々に、ありがとうと言わせてください! 皆さんのおかげで、本当によい経験ができました。充分に感謝を表現する言葉が見つかりません!


 辛抱強く相手をしてくれたベータ・リーダーの Vegeta、それからいつもわたしの弁護に回ってくれた Kenzie には、特に感謝を。


(2002.7.24 公開の Author's Note より)




翻訳者あとがき

 さて、一応、翻訳者もひとこと書かせてください(要らんってか)。とにかくもう、わたしはこのお話が大大大好きで、自分で全文を日本語化させてもらえて、本当に感無量です。最初に検討したときには、わたしの手に負えるのだろうか……って、すごく心もとなかったですが、なんとかかんとか、最終章までたどりつけました。しばらく経ってからこの訳文を読み返すと「うわ、下手くそ」とか思ったりするのかもしれませんが(すでにそうお思いの読者さんもいるかもしれませんが)、とりあえず今のわたしの精一杯の翻訳です。思い入れだけは、めっちゃくちゃあります。


 そんな、わたしの思い入れだけでスタートした連載に付き合って、この長い長い翻訳小説を最後まで読んでくれた方々、このお話を好きだと言ってくださった方々、翻訳がんばれー! と言ってくださった方々に、多大なる感謝を捧げます。それからもちろん、大切なご自分の超人気代表作を、快く見ず知らずの正体不明な日本人の手に委ねて「全訳してもいいよ」と言ってくださった aleximoon さんには、いくら感謝しても足りません。どうもありがとうございます。


 それにしても、このお話におけるドラコとハーマイオニー、結局最後まで、互いの前では一回も "I love you." どころか "I like you." とさえ、はっきりと口には出しませんでしたねえ。この素直じゃなさが、とっても好きだ(笑)。


2004.5.28 Nessa F. 拝