ドラコーディア 〜ドラゴンの心〜Dracordia (by LittleMaggie)Translation by Nessa F.
第 22 章 婚礼(page 1/3)
ジニーは興奮の極致にあった。不安でたまらなかったが、とてもきれいだとラベンダーには繰り返し保証してもらっていた。しかしドラコと一緒に会場に足を踏み入れることによる気持ちの高ぶりは、自分でも理解できないほどだった。並んで順繰りに握手を交わすのをすっぽかすために三十分を遅刻し、人目を集めることは必至の入場だ。ジニーは自分と腕を組んでいるドラコのほうを向いて顔を見た。触れ合っているところが、じんじんする。ドラコは隙のない服装だったし、ジニーは古いモスリンのドレスをいじってかすかな光沢のあるブルーに変え、それに合わせた透明感のある水色のスカーフで首もとから肩を覆っていた。 「取って食われるぞ」 「もう、やめてよ!」 重い扉を押し開け、ふたりは中に入った。ある意味、ドラコの予想は正しかった。会場はおそろしいほどの沈黙に包まれた。それから ドラコはうなずいて、口の動きだけで「ありがとう」と言った。 ジニーもうなずき返してから、ハリーとハーマイオニーのテーブルに行った。凛々しいカップルだ。特にハーマイオニーが。ハーマイオニーは本当は美人だったが、めったにそれを見せびらかそうとはしなかった。彼女の美しさは、言うなれば高価な宝石 「ジニー!」 「そうね」 「わかってないとでも思う?」 「お騒がせしちゃってたらごめんなさい」 「あなたのパートナーがドラコだったってことには驚いたわ」 「彼、ほんとにかなり変わったのよ。わたしたち、今ではすごく仲良しなの」 「驚きだね」 「仕方ないわ」 「本当にありがとう」 (結婚式って、すごくたくさんのお金が行ったり来たりするのね) 「わかったわ」 ハリーは肩をすくめた。 その頃ジニーは、会場のうしろのほうにいるドラコを発見していた。彼が座っているテーブルには、ほかの招待客は誰もいなかった。怯えた顔をしている。しかめ面の裁判官と不満げな陪審員の前に立たされた囚人のようだ。しかしジニーを見ると、その表情は明るくなった。 フルコースのディナーとデザートを食べ終わると、とうとうダンスの時間になった。ジニーは、ドラコが誘ってくれないかと自分の席で祈る必要さえなかった。音楽がはじまったとたん、ドラコは立ち上がって尋ねてきたのだ。 控えめに言っても、ジニーはびっくりしてしまった。 「少なくとも、ぼくは上手いよ。きみの分はカバーする」 ダンスフロアに出ると、すでにほかのカップルが数組、踊りはじめていた。最初のうち、周囲の目はみんな主役である新郎新婦に注がれていたが、やがてドラコとジニーのほうに引き寄せられていくことが多くなった。本人が言ったとおり、ドラコはダンスが上手だった。 曲の合間に、ドラコはジニーに向かってささやいた。 返事の代わりに、ジニーはにっこり笑った。 |