ドラコーディア 〜ドラゴンの心〜Dracordia (by LittleMaggie)Translation by Nessa F.
第 13 章 解決策(page 1/2)
ドラコはようやく、肖像画に色を塗りはじめていた。ジニーの髪の濃淡の混ざり具合に驚嘆したドラコは、なぜウィーズリー家のほかの者たちとはそんなに色合いが違うのだろうかと不思議がった。ジニーの髪はほかの家族のものと比べて豊かでふさふさとしており、金色や茶色がたくさん混じっていると彼は説明した。しかしドラコは、ロマンティックななまざしを向けてきたことは一度もなく、顔を突き合わせていても決して照れを見せたことはなかった。その視線は、ただの使用人を見る、無関心なものに過ぎなかった。 「何を笑っているんだ?」 「だってあなた、ものすごく真面目な顔してるんだもの」 「そんなことを言うならきみの顔にひげを描いてやるぞ」 「脅迫するつもりなら、胎児みたいにまるまったポーズをとるわよ」 ドラコは目を上げて、顔に落ちかかった一房の金髪をかきあげた。 「わたし "かまってちゃん" じゃないわ」 ふたりは延々とふざけあい、親しみをこめて言い合いをするようになっていた。まるで仲のいい友人同士のようにからかいの言葉を投げかけあったかと思えば、やがてどちらかが疲れてしまい、ふたりとも黙り込んで、ドラコが作業に没頭するようすをジニーがじっと観察するのが常だった。 時には、もう少し崇高な話題に踏み込むこともあったが、ドラコが素早く話をそらすか、あるいはジニーがいくら質問をしても答えが得られないことにうんざりしてしまうのだった。それでも数日経った頃に、ジニーはどうしても気になっていた、ある質問を切り出した。 「わたしたちって、友達?」 「そうだったらいいのにって?」 「もう、ミスター・マルフォイ。ちゃんと真剣に答えて」 「ミス・ウィーズリー。きみ……」 「マルフォイ!」 「画家は、モデルと親密になることはできない」 「お願い、ほんとのこと言って」 「ぼくたちふたりが、友人同士になれるとは思えない」 「どうして、なれないの?」 「そうだな、友人をめざして実習中の段階まではいけるかもしれない」 「どんなふうに?」 「セクハラはやめてくれ、ウィーズリー」 「消せばいいでしょ」 「信念」 「ヴォルデモートはもういないわ、ドラコ。それはノーカウント」 「じゃあ、経済的な違いだ」 「どんな経済的な違いよ? 今じゃもしかしたら、あなたの家よりわたしの家のほうがまだマシかもしれないじゃない。気を悪くしないでほしいんだけど」 「ぼくは暗くて憂鬱。きみは善良で友好的で元気な女の子。悪役と主人公の関係だ。対等な間柄にはならない。さて、スリザリンの名にかけてじっと座っていてくれないと、鼻の穴を四つにするぞ」 「じゃあ、どうして憂鬱なの?」 「きみはぼくのセラピストじゃない」 「ドラコ、ちょっとは本音で喋ってくれてもいいんじゃない? わたし、相談に乗るのが得意なのよ」 「ぼくには何もない。仕事はつまらないし基本的にいつも独りぼっちだし、両親がいるこの土地に縛り付けられている。これで満足か?」 「あら、じゃあわたしと友達になればいいのよ。そうしたらわたしがいるから、独りじゃないわ」 「どうしてこれ以上、友達が必要なんだよ? きみにはもう、たくさんいるじゃないか!」 「あなたに、もっと友達が必要だと思うの」 「こら、そのままにしておいてくれ。影のつき方が変わってしまう」 ジニーはすぐさま髪の毛を、前と大体同じところに来ることを願いつつ顔のほうに引き戻した。 「隔てているのは、ぼくの母じゃないだろうか」 「それもね」 「それから、ハリー・ポッターが大好きな一家に関わりができてしまうという事実もだろう」 「それは言えてるわね」 「ぼくは哀れみも援助もいらない」 「わたし、今日はもうポーズとるのやめにしたいんだけど」 「まさか、怒ってるんじゃないよな?」 「いいえ、全然」 「女って」 |