ドラコーディア 〜ドラゴンの心〜Dracordia (by LittleMaggie)Translation by Nessa F.
第 5 章 罪悪感(page 4/4)
「なあに?」 「もう本当にどうしたらいいのか決めかねてるんだ。ここしばらく、ドラコがらみのトラブルが多くて」 ハーマイオニーは、返事をする前に、大きく息を吸った。 「ジニーになんらかの形で悪い影響が出なければいいんだけど」 「わたしの知ってるなかで、ジニーほど周囲を明るい気持ちにしてくれる子はいないわ」 「そうかもしれないけど」 「ハリー、あなたはやるべきことをやっただけなのよ。あなたがいなければ 「わかってる。でも……」 「聞いて」 「あいつは、嫌になるほど横柄なんだ」 「きみの言うように受け止めるのは、難しいよ。あいつの言うことを聞いてると、まるでぼくは……ぼくは自分が悪魔か何かみたいに思えてきて」 「お願い、そのことはもう考えないで」 ハリーはうなずいた。ふたりはさっさと夕食の残りをたいらげて、ソファに移動した。ハリーは唇でハーマイオニーの首筋をたどって、鎖骨のところに軽くキスをした。 ハーマイオニーは微笑んで頬をすりよせ、ハリーの耳元にささやきかえした。 ハリーには、彼女が自分の指を見下ろした気配が感じられた。婚約指輪をはめた指だ。派手な指輪ではなかった。シンプルな金のリングに、ささやかな石がついただけ。値段ではなく、センチメンタルな意味に価値を置いた石だ。それはもともとは、ふたりで訪れた浜辺で拾ったものだった。波に洗われて表面がなめらかになった、淡いブルーの石。凍てつくようなイングランドの海辺での短い休暇はロマンティックだった。そしてある晩、暖炉の前で一緒に過ごしていたとき、ふたりはその石を磨きに出して加工し、婚約指輪に使うことを決めたのだった。 ハーマイオニーが自分のほうに手を向けてきたので、ハリーは薄い青灰色の石が輝くのをじっと見た。その輝きは、ドラコと話し合いをしたときに、その目に宿っていた敵意を思い出させた。 ハーマイオニーはきょとんとして、一瞬、自分の恋人が何を言っているのかまったく理解できていないようだった。それから、声を上げた。 ハリーはぼんやりと彼女の髪をなで、さらに言った。 「ハリー」 ハリーは顔を上げて、彼女の鼻先にキスをした。 「そんなに気になるんだったら、魔法省で会議を召集するとか、ドラコに直接言うとか、すればいいじゃない。わたしじゃわからないわ」 |